皆さん、こんにちは。ジャパンフードカンパニーの南口です。
「毎日、事務作業に追われて本来やるべき仕事に手が回らない」。中小企業の経営者から、この言葉を何度聞いたかわかりません。請求書の処理、受注データの入力、出荷指示の確認。どれも必要な仕事ですが、経営者がやるべき仕事かどうかは別の話です。
事務作業の効率化というと、便利なツールの導入を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、JFCの支援現場では、ツールを入れる前に「そもそもこの作業は必要なのか」を見直すところから始めます。仕組みで勝手に回る状態を作ること。それが本当の意味での事務作業の効率化です。
この記事でわかること
- 事務作業の効率化で最初にやるべき「業務の棚卸し」の方法
- ツール導入の前に見直すべき3つの視点
- 中小企業で実際に年間300時間を削減した自動化の事例
- 外部に任せるという選択肢と、その判断基準
事務作業の効率化は「頑張る」ではなく「仕組み化」で解決する
事務作業の効率化とは、作業を速くこなすことではありません。人がやらなくても回る仕組みを作ることです。経済産業省の「DXレポート2」(2020年)でも、企業がDXを推進するうえで業務プロセスそのものの見直しが不可欠だと指摘されています。
中小企業の現場では、作業を減らすのではなく「もっと速くやろう」と頑張る傾向があります。しかし、人間が手作業で速度を上げるには限界があります。根本的に変えるべきは、作業のやり方そのものです。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX白書2023」によると、従業員100人以下の中小企業ではDXへの取り組みが進んでいない企業が依然として多い状況です。その理由の上位は「何から始めればいいかわからない」。事務作業の効率化は、そのスタート地点として最も取り組みやすいテーマの一つです。
「作業を減らす」と「仕組みで回す」の違い
作業を減らすとは、不要な手順を省くことです。一方、仕組みで回すとは、必要な作業を人の手から切り離すことを指します。
たとえば、請求書の作成を例にとります。「作業を減らす」アプローチでは、記入項目を減らしたり、テンプレートを用意したりします。「仕組みで回す」アプローチでは、受注データから請求書を自動生成する仕組みを作ります。
後者の場合、人間がやるのは最終チェックだけです。JFCの支援先では、請求書作成に月10時間かかっていた業務を、チェック作業のみの月1時間にまで削減した事例があります。年間で約108時間の削減です。
中小企業こそ「仕組み化」が効く理由
大企業には専門部署があり、人員を増やすことで業務量に対応できます。しかし中小企業では、経営者や少人数のスタッフが事務作業を兼務しているケースがほとんどです。
だからこそ、仕組み化の効果が大きいのです。1日30分の作業を自動化するだけで、年間では約180時間。その時間を営業活動や商品開発に充てられます。
JFCの支援現場では、事務作業に1日2時間以上を費やしている経営者が珍しくありません。これは経営判断や顧客対応に使うべき時間が、日々の定型作業に食われている状態です。
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業務効率を改善するための「棚卸し」3ステップ
業務効率の改善で最初にやるべきことは、ツールの選定ではありません。今ある作業を全部書き出して、仕分けることです。この工程を飛ばしてツールを導入しても、効果は限定的になります。
ステップ1:全作業を書き出す
まず1週間、自分がやった事務作業をすべてメモします。「請求書作成 30分」「受注メール確認 20分」「在庫データ入力 15分」のように、作業名と所要時間をセットで記録してください。
ポイントは、細かい作業も漏れなく書くことです。「メールを転送しただけ」「Excelにコピペしただけ」という作業も、積み重なれば大きな時間になります。
ステップ2:4つに仕分ける
書き出した作業を、以下の4つに分類します。
| 分類 | 判断基準 | 対応方針 |
|---|---|---|
| やめる | そもそも不要な作業 | 即廃止 |
| まとめる | 同じ種類の作業が分散している | 集約して一括処理 |
| 任せる | 自分がやる必要がない | 担当者変更または外注 |
| 自動化する | 毎回同じ手順を繰り返す | ツールやシステムで自動化 |
この仕分けをやるだけで、全体の2〜3割の作業は「やめる」「まとめる」だけで削減できることが多いです。JFCの支援現場では、この棚卸しだけで月10時間以上が浮いたケースもあります。
ステップ3:自動化の優先順位をつける
「自動化する」に分類した作業に、優先順位をつけます。判断基準は2つ。頻度が高いことと手順が決まっていることです。
毎日やっている定型作業は、自動化の効果が最も高くなります。逆に、月1回しか発生しない判断が必要な業務は、自動化の優先度を下げてかまいません。
「棚卸しはしたけれど、どこから自動化すべきかわからない」。そんなときは、業務効率化の専門家に相談するのが近道です。
※ 相談だけでも歓迎です。契約の義務はございません。
事務作業の効率化で中小企業が成果を出した具体例
ここからは、JFCの「DXコンシェルジュ」で実際に支援した事務作業の効率化事例を紹介します。いずれも中小企業の現場で、特別なIT知識なしに実現したものです。
事例1:EC出荷指示業務を1日60分から5分に短縮
ある食品メーカーでは、ECサイトの受注データを目視で確認し、出荷指示書を手作業で作成していました。1日あたり約60分。繁忙期にはさらに増え、担当者の残業が常態化していました。
この業務を、受注データの取り込みから出荷指示書の生成までを自動化しました。担当者がやるのは、最終的な確認ボタンを押すだけ。1日60分が5分になり、年間で約300時間の削減につながりました。
事例2:請求書の仕分け作業で残業がほぼゼロに
別の企業では、取引先から届く請求書の仕分けと入力に膨大な時間がかかっていました。紙の請求書、PDF、メール添付と形式もバラバラ。担当者は毎日残業して処理にあたっていました。
AIを活用した自動仕分けの仕組みを導入し、毎朝6時に自動で分類・整理が完了する状態を作りました。担当者の残業はほぼゼロになり、朝出社したときには仕分け済みの状態で業務を始められるようになっています。
事例3:請求書作成を月10時間からチェック1時間に
月末の請求書作成に毎月10時間を費やしていた企業の事例です。取引先ごとの金額計算、フォーマット調整、送付作業を一人で行っていました。
Googleカレンダーと連動した自動生成の仕組みを構築し、請求書が自動で作成・送付される状態にしました。担当者の作業は内容のチェックだけとなり、月10時間が月1時間に。年間で約108時間の削減です。
年間108時間と聞くと「たったそれだけ?」と思うかもしれません。しかし、こういう小さな作業が社内に5つあって、それぞれ100時間ずつ削減できたら、年間500時間になります。
1日8時間、月22日出勤で計算すると、1ヶ月の労働時間は約176時間です。500時間は約3ヶ月分の労働時間に相当します。この浮いた時間を製造や営業に回せたら。もっと言えば、経営者の業務を少しでも現場に委譲できれば、経営者自身が営業に出られるようになる。営業が増えれば売上が伸び、売上が伸びれば次の投資ができる——。こうしたポジティブなドミノが動き始めます。
事務108時間の削減が、結果的にいくらかの売上を生むことになるのです。事務作業の効率化を「コスト削減」だけで見ると過小評価してしまいます。本当の価値は、その先に生まれる時間の使い方にあります。
事例4:不動産評価額の試算を電卓作業からツール化
これは食品業界以外の事例ですが、司法書士事務所で不動産評価額の試算を電卓で行っていた業務を、専用ツールに置き換えました。計算ミスのリスクがなくなり、試算にかかる時間も大幅に短縮されています。
業種を問わず、「毎回同じ手順で計算する」業務は自動化の対象になります。
事務作業の効率化ツールを選ぶ前に確認すべきこと
「事務作業 効率化 ツール」で検索すると、多くのツール比較記事が出てきます。しかし、ツール選びの前に確認すべきことが3つあります。ツールは手段であり、目的ではありません。
確認1:その作業は本当に必要か
前述の棚卸しと重なりますが、不要な作業を効率化しても意味がありません。「昔からやっているから」という理由だけで続いている作業は、まず廃止を検討してください。
JFCの支援現場では、棚卸しをした結果「この報告書、誰も読んでいなかった」と判明するケースが少なくありません。
確認2:既存のツールで対応できないか
新しいツールを導入する前に、今使っているツールの機能を確認してください。ExcelやGoogleスプレッドシートだけでも、関数やマクロを使えば多くの定型作業を自動化できます。
実際に、高額なシステムを導入しなくても、Google Workspace(旧G Suite)の標準機能とGoogle Apps Scriptの組み合わせで、請求書作成や在庫管理の自動化を実現している中小企業は数多くあります。
確認3:運用を続けられる体制があるか
どれだけ優れたツールでも、使い続けられなければ意味がありません。「導入したけど使いこなせない」「担当者が辞めたら誰もわからない」という状態は避ける必要があります。
ツール導入時に重要なのは、社内に運用マニュアルを残すことと、属人化しない設計にすることです。もし社内にIT担当者がいない場合は、外部の専門家に運用まで任せる選択肢も検討すべきです。
事務作業の自動化や業務効率化でお悩みでしたら、まずは現状を整理するところからお手伝いします。
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業務効率化のプロに、まず30分相談してみませんか
DXコンシェルジュは、IT担当者がいない中小企業のための伴走型業務効率化サービス。「何から始めればいいか」の整理だけでも構いません。
業務効率化を「会社の仕組み」にするために必要なこと
事務作業の効率化は、一度やって終わりではありません。継続的に改善し続ける「仕組み」として会社に定着させることが重要です。経済産業省が推進する「DX推進指標」でも、単発のIT導入ではなく、組織的・継続的な取り組みが求められています。
「自分でやる」か「任せる」かの判断基準
業務効率化を進めるにあたって、社内で内製するか、外部に任せるかは多くの経営者が悩むポイントです。判断基準はシンプルです。
| 条件 | 内製が向いている | 外部委託が向いている |
|---|---|---|
| IT担当者 | 社内にいる・育てたい | いない・採用の予定もない |
| 対象業務 | 自社固有のルールが多い | 汎用的な事務処理 |
| スピード | 時間をかけてもよい | すぐに成果を出したい |
| 予算 | 人件費で対応可能 | 外注費を投資と考えられる |
JFCの「DXコンシェルジュ」では、内製化を支援する伴走型コースと、丸ごと代行する完全アウトソース型コースの2つを用意しています。「最終的には自社で回せるようになりたい」という企業には伴走型を、「IT担当がいないので全部任せたい」という企業にはアウトソース型をご提案しています。
総務・バックオフィス全体の効率化との関係
事務作業の効率化は、総務やバックオフィス全体の見直しと密接に関わっています。請求書処理だけを自動化しても、その前後の承認フローや報告業務が手作業のままでは、全体の効率は上がりません。
総務業務全体の効率化については、総務業務の効率化に関する記事で詳しく解説しています。事務作業の効率化と合わせてご覧ください。
事務作業の効率化に関するよくある質問
Q. 事務作業の効率化は何から始めればいいですか?
まず1週間、自分がやっている事務作業をすべて書き出してください。作業名と所要時間をセットで記録し、「やめる・まとめる・任せる・自動化する」の4つに仕分けます。この棚卸しだけで、全体の2〜3割の作業は削減の余地が見つかることが多いです。
Q. 社内にIT担当者がいなくても業務効率化はできますか?
できます。JFCの「DXコンシェルジュ」では、IT担当者がいない企業向けに、企画から開発・運用まで丸ごと代行するコースを提供しています。実際に、IT専任者ゼロの企業で年間300時間の事務作業を削減した実績があります。
Q. 業務効率化にはどのくらいの費用がかかりますか?
対象業務の範囲や自動化の複雑さによって異なります。簡単な定型作業の自動化であれば、既存のツール(Googleスプレッドシートやメールの自動振り分けなど)だけで費用をかけずに実現できるケースもあります。外部に依頼する場合は、企業規模と支援範囲に応じた個別見積もりが一般的です。まずは無料相談で、費用感を含めてご説明いたします。
Q. 自動化して失敗することはありますか?
あります。よくある失敗は、業務の棚卸しをせずにツールだけ導入するケースです。「使いこなせない」「現場のフローに合わない」という事態が起こります。成功のカギは、自動化する前に業務プロセスそのものを見直すことです。JFCの支援では、必ず業務の棚卸しと優先順位づけを最初に行います。
Q. 相談したら、すぐに契約しないといけませんか?
いいえ。初回の無料相談は、貴社の現状をお聞きし課題を整理する場です。相談だけでも歓迎です。契約の義務はございません。「まず話を聞いてみたい」というお問い合わせも多くいただいています。
事務作業の効率化、何から手をつけるか迷っていませんか?
JFCの「DXコンシェルジュ」は、業務の棚卸しから自動化の設計・運用まで、
中小企業の事務作業効率化を丸ごと支援します。
※ 売り込みはありません。まずは現状をお聞かせください。
※ オンライン対応可・全国どこからでもご相談いただけます。
著者:南口龍哉(みなみぐち たつや)
ジャパンフードカンパニー(JFC)代表取締役。食品EC専門コンサルタントとして14年間・70社超の中小食品メーカーを支援。近年は「DXコンシェルジュ」事業を通じて、業種を問わず中小企業の業務効率化・DX推進を支援している。
最終更新:2026-04-11
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