「ITに詳しい人が1人しかいない」──中小企業の”ひとり情シス”問題をどう解決するか
皆さん、こんにちは。ジャパンフードカンパニーの南口です。
「パソコンのことは全部、○○さんに聞いてる」。そんな状態の会社は少なくありません。実はこれ、IT業界では「ひとり情シス」と呼ばれる、れっきとしたリスクです。
「情シス」とは「情報システム部門」の略称で、社内のパソコン管理やネットワーク、業務システムの運用を担う部署のことです。大企業では数十人のチームが担当しますが、中小企業ではそもそもそんな部署は存在しません。
「うちには情報システム部なんてないよ」と思った方。その通りです。ただ、ITまわりのことを全部任せている社員が1人いませんか。その状態こそが「ひとり情シス」です。
この記事でわかること
- 「ひとり情シス」の意味と、中小企業で起きている実態
- その人が辞めたとき、会社に何が起こるか
- 情シス代行・IT顧問という外部活用の選択肢
- 年間100時間以上の業務削減を実現した具体事例
「ひとり情シス」とは何か?──中小企業の9割が直面する現実
ひとり情シスとは、社内のIT業務を1人の担当者だけで回している状態を指します。経済産業省の「DXレポート」でも、IT人材不足は中小企業の構造的な課題として繰り返し指摘されています。
「情シス」という言葉を知らなくても、状態は同じ
中小企業の経営者にとって、「情シス」は馴染みのない言葉かもしれません。しかし、以下に心当たりがあるなら、それはひとり情シスの状態です。
- Wi-Fiが繋がらないとき、相談する相手が社内に1人しかいない
- 業務ソフトの設定やアカウント管理を特定の社員に任せきりにしている
- 「あの人がいないと、パソコンまわりが止まる」と感じたことがある
- ホームページやECサイトの更新を、その人だけが担当している
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の「DX白書2023」の人材動向調査によると、中小企業ではDX推進人材の量的不足が深刻な課題として報告されています。IT専門人材を十分に確保できている中小企業はごく一部にとどまるのが実態です。
本業は別にある──「片手間IT担当」の限界
多くの場合、ひとり情シスの担当者は本来の業務を別に持っています。経理の方がExcelマクロを組んでいたり、営業事務の方がシステム設定を兼務していたりするケースが典型です。
本業をこなしながらIT対応もするため、常に手が回りません。セキュリティ対策やシステム更新が後回しになり、トラブルが起きてから対処する「消火活動」の繰り返しになります。
JFCの支援現場でも、「ITのことを聞ける人が社内に1人しかいない」という声は非常に多いのが実態です。
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その人が辞めたら、何が起こるのか?──ひとり情シスの3大リスク
ひとり情シス最大のリスクは、担当者の退職や異動で業務が完全に止まることです。パスワード、設定手順、運用ノウハウがすべてその人の頭の中にある場合、引き継ぎは困難を極めます。
リスク1:業務の完全停止(ブラックボックス化)
「あのシステムの管理画面、ログインできる人がいない」。担当者が辞めた直後にこの事態が発覚するケースは少なくありません。パスワードの管理、サーバーの契約情報、業務ソフトの設定ファイル。これらが1人にしか分からない状態は、経営リスクそのものです。
リスク2:セキュリティの脆弱化
片手間でIT対応をしている状態では、OSやソフトウェアのアップデート、ウイルス対策ソフトの更新、不審メールへの対応が後手に回ります。IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、中小企業を狙ったサイバー攻撃は年々増加しています。
「うちみたいな小さい会社が狙われるわけがない」と考えがちですが、実際にはセキュリティが甘い中小企業こそ、攻撃者にとって格好の標的です。
リスク3:DX・業務改善が進まない
日々のトラブル対応に追われ、本来やるべき業務改善やデジタル化の検討まで手が回りません。結果として「紙の管理」「手作業の集計」がいつまでも残り続けます。
経産省は2025年までに「DXの崖」が到来すると警告していました。その期限はすでに過ぎていますが、多くの中小企業のIT環境は変わっていません。ひとり情シス状態がその足かせになっているケースは多いと、私は実感しています。
解決策は「採用」だけではない──情シス代行・IT顧問という選択肢
ひとり情シス問題の解決策は、IT人材の採用だけではありません。外部の専門家をIT顧問・情シス代行として活用する方法が、中小企業にとって現実的かつ即効性のある選択肢です。
採用・内製化と外部活用の比較
| 項目 | IT人材を採用する | 情シス代行・IT顧問を活用する |
|---|---|---|
| 初期コスト | 高い(採用費+給与) | 低い(月額契約) |
| 専門性 | 採用する人材次第 | 幅広い技術領域をカバー |
| 属人化リスク | 再び1人依存になる可能性 | 組織的に対応(担当交代が可能) |
| 即効性 | 採用まで3〜6ヶ月 | 契約後すぐに着手可能 |
| 退職リスク | あり(振り出しに戻る) | 契約ベースのため安定 |
特に従業員30人以下の企業では、IT専任者を正社員で雇用するコストと効果が見合わないケースが大半です。月額契約で必要な範囲だけ依頼できる外部活用は、中小企業の経営実態に合った選択肢です。
「IT顧問」と「情シス代行」の違い
外部活用にも種類があります。大きく分けると以下の2つです。
- IT顧問型:相談窓口として助言を行う。ツール選定や方針策定が中心。手を動かすのは社内
- 情シス代行型:企画から設計・開発・運用まで丸ごと請け負う。社内にIT担当がいなくても回る体制を作る
IT担当が社内にいる場合は顧問型、いない場合は代行型が適しています。自社の状況に合わせて選ぶことが大切です。
選ぶときに確認すべき3つのポイント
外部のIT支援サービスを選ぶ際は、以下を確認してください。
- 担当者が固定されるか:毎回違う人が来ると、自社の業務を理解してもらえない
- 相談のハードルが低いか:「こんなこと聞いていいのか」と思わせない体制があるか
- 中小企業の実情を理解しているか:大企業向けのIT支援を中小企業に持ち込んでも機能しない
実例:年間100時間以上の業務削減を実現した中小企業
外部のIT支援で具体的に何が変わるのか。JFCが提供する「DXコンシェルジュ」の支援事例をご紹介します。いずれも、社内にIT専任者がいない状態から支援を開始したケースです。
事例1:EC出荷指示業務──1日60分が5分に
ある食品メーカーでは、毎日のEC出荷指示に60分かかっていました。手作業でのデータ照合と転記が発生していたためです。DXコンシェルジュが業務フローを分析し、自動化の仕組みを構築した結果、1日5分に短縮。年間に換算すると約300時間の削減になりました。
事例2:請求書仕分け──残業続きからほぼゼロへ
受信した請求書の仕分け・整理作業に追われ、経理担当者が毎月残業している企業がありました。AIツール(Gemini)を活用した自動仕分けの仕組みを導入し、毎朝6時に自動実行される体制を構築。結果、残業はほぼゼロになりました。
事例3:請求書作成──月10時間が最終チェック1時間に
毎月の請求書作成に10時間以上かかっていた企業では、Googleカレンダーと連動した自動生成の仕組みを構築しました。担当者の作業は最終チェックの1時間のみとなり、年間で約108時間の削減を達成しています。
いずれの事例も、高額なシステム導入ではなく、Google Workspace等の既存ツールを活用した仕組みづくりで実現しています。「中小企業でもここまで変わる」という事実を、ぜひ知っていただきたいと思います。
業務効率化の具体的な進め方については、中小企業の業務効率化ガイドでも詳しく解説しています。
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ひとり情シス問題を放置しないために──経営者がまずやるべきこと
ひとり情シス問題は、「困ってから動く」では手遅れになるリスクがある分野です。担当者が元気に働いている今のうちに、以下の3つだけは進めておくことを強くお勧めします。
ステップ1:IT業務の棚卸し
まず、社内で「誰が」「何のIT業務を」担当しているかを一覧にしてください。パスワード管理、契約情報、ソフトウェアのライセンス、ホームページの管理画面。これらが1人に集中していないか確認します。
ステップ2:パスワード・契約情報の共有
最低限、以下の情報は経営者自身も把握しておくべきです。
- サーバー・ドメインの契約先と管理画面のログイン情報
- 業務システム(会計ソフト、受発注システム等)の管理者アカウント
- Google WorkspaceやMicrosoft 365等の管理者権限
「DXとは何か」を理解することが、経営者自身の判断力を高める第一歩です。DXとは?中小企業の経営者向けにわかりやすく解説も参考にしてください。
ステップ3:外部の相談先を確保する
社内で解決できない問題が起きたとき、すぐに相談できる外部パートナーがいるかどうか。これが明暗を分けます。IT顧問や情シス代行サービスと日頃から関係を持っておくことで、緊急時にもスムーズに対応できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 「ひとり情シス」は何人くらいの会社で起きやすいですか?
A. 従業員10〜100人規模の企業で特に多く見られます。IT専任者を雇用するほどの規模ではないが、ITなしでは業務が回らない――その中間にある企業が最も影響を受けやすい状態です。
Q. 情シス代行やIT顧問の費用はどれくらいですか?
A. 企業規模や支援範囲によって異なりますが、月額数万円から利用できるサービスもあります。正社員のIT人材を採用する場合の年間コスト(400〜600万円)と比較すると、大幅にコストを抑えられるケースがほとんどです。詳しくは個別にお見積りいたします。
Q. ITに詳しくない経営者でも、外部の支援を使いこなせますか?
A. 使いこなせます。むしろ、ITに詳しくないからこそ外部の力を借りる意味があります。JFCのDXコンシェルジュでは、専門用語を使わず、経営者の言葉で会話することを徹底しています。「難解なことはプロに任せて、成果だけを受け取る」がコンセプトです。
Q. 社内にIT担当が1人もいない場合でも対応できますか?
A. 対応可能です。DXコンシェルジュの「社外に御社のDX担当コース」は、企画・設計・開発・運用まで丸ごと代行する完全アウトソース型です。IT担当者がゼロの企業でも、安心してご利用いただけます。
Q. まずは話を聞くだけでも大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。初回の無料相談は、現状をお聞きして課題を整理する場です。相談したからといって契約の義務はありません。オンラインで全国どこからでもご相談いただけます。
「ひとり情シス」問題、一人で抱え込む必要はありません。
担当者固定制・チャット相談し放題・月1定例MTG。
DXコンシェルジュが、御社のIT課題をまるごとお引き受けします。
※ 売り込みは一切ありません。オンライン対応可・全国どこからでもOK
※ 経営者お一人でのご相談も多くいただいています。
著者:南口龍哉(みなみぐち たつや)
株式会社ジャパンフードカンパニー 代表取締役。食品EC・WEBマーケティング・DX推進の専門家として14年間・70社超の中小企業を支援。「DXコンシェルジュ」を通じて業種を問わず中小企業の業務効率化を推進中。
最終更新:
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