月初になると、決まって胃が重くなる
「また今月も、あの作業がはじまる」──月初のこの感覚に、心当たりのある方は多いのではないでしょうか。飲食・サービス業は特に、早出・遅番・祝日出勤・シフトの変則勤務が入り乱れます。タイムカードやエクセルで日々の打刻は記録できていても、それを給与計算につながる形に「集計」する作業は、驚くほど属人化しやすい仕事です。
「早出・祝日早出の割増計算は、担当者の頭の中にしかルールがない状態でした。もし自分が急に休んだら、誰も集計できない──そんな不安を抱えながら、毎月同じ作業を繰り返していました。」
「月初の3〜4日は、ほぼこの作業に時間を取られる。本来やるべき採用や労務相談に手が回らないのが、ずっと課題でした。」
この会社様も同じ状況でした。従業員数はそれほど多くないものの、シフトパターンが複雑で、「複雑なルール×手作業」という組み合わせが、月初のたびに重くのしかかっていたのです。集計ミスがあれば給与に直結するため、慎重にならざるを得ず、余計に時間がかかるという悪循環もありました。
実施したこと:3つのステップで、手作業を「差分チェック」に変える
今回のプロジェクトで大切にしたのは、「勤怠管理システムを新しく導入しない」という前提です。ツールを入れ替えるコストや、現場が新しい操作を覚える負担を避け、今の運用のまま集計だけを自動化する方向で設計しました。
現状の集計ルールを、すべて洗い出す
まず着手したのは、担当者の頭の中にしかなかった集計ルール(早出・祝日早出・割増条件など)を、一つひとつヒアリングして言語化する作業です。属人化の正体は、多くの場合「ルールが文書化されていないこと」にあります。
既存フォーマットのまま、自動集計の仕組みを組む
洗い出したルールをもとに、今使っているタイムカード・エクセルのデータをそのまま読み込んで自動集計する仕組みを構築。フォーマットの変更や、新しい入力作業を現場に増やさないことにこだわりました。
「差分チェック」だけで完了する運用に切り替え
自動集計後、担当者が行うのはイレギュラーな打刻など「差分」のチェックのみ。ゼロから手計算していた頃と比べて、月初の作業のほとんどが不要になりました。
苦労した点:ルールの「例外」をどう拾いきるか
一番苦労したのは、「基本ルール」ではなく「例外ルール」の洗い出しでした。担当者ご本人も、普段は意識せず感覚で処理している例外パターン(半休と早出が重なった日の扱いなど)が複数あり、最初の自動化ロジックでは数件、集計がずれるケースが見つかりました。
ここで無理に「一発で完璧な仕組み」を目指さず、まず自動化できる範囲から始めて、ズレが出るたびにルールを追加していくという進め方に切り替えたことが、結果的にスムーズな定着につながりました。完璧を待ってから公開するのではなく、小さく始めて磨いていくスタイルです。
導入後の変化
月初の集計作業は、ほぼ自動で完了する状態になりました。担当者の方が向き合うのは、イレギュラーな打刻の確認だけ。空いた時間を、採用活動や現場からの労務相談など、「本来やるべき仕事」に充てられるようになったと伺っています。
何より大きかったのは、「自分が休んでも集計が止まらない」という安心感です。属人化していた業務が仕組みに置き換わったことで、担当者の方の心理的な負担も軽くなりました。